鶴岡市櫛引 黒川能「第四十回 水焔の能」鑑賞レポート|かがり火に浮かぶ幻想の能舞台に感動

山形県鶴岡市の櫛引総合運動公園 野外ステージにて2025年9月6日(土)に開催された「国指定重要無形民俗文化財 黒川能 第四十回 水焔(すいえん)の能」今回は鑑賞した模様をブログでレポートします。

月山と鳥海山をのぞむ野外ステージ

開場とともに中へ入って、前から2列目の席を確保。舞台に向かって右に月山、左に鳥海山を臨み、太陽が沈むと月が姿をあらわします。自然に抱かれた庄内を感じる場所で、赤川そばにある為か日中の暑さがウソのように涼しくて、後半は長袖シャツを着た方がいいかなと思うくらいになりました。

水焔の能

今回はかがり火が囲む水上に設けられたステージで上演される黒川能。夜が深まるってくると、パチパチと音をたてるかがり火の明かりと水面に舞台の様子が映って幻想的は雰囲気でした。

舞台まつり

まずはじめに「舞台まつり」では、能演者が舞台上を塩で清めて、春日の大神をお迎えすることを祈願します。

舞囃子 高砂

肥後国阿蘇神社の神主友成は、播磨国高砂で松の木陰を掃き清める老翁と老婆に出会います。友成がふたりに尋ねると、今掃き清めているのが「高砂の松」であること、また国を隔てた住吉の地にある「住の江の松」と合わせて「相生(あいおい)の松」と呼ばれていることを教えました。さらにこの老夫婦は、自分たちが高砂と住吉の「相生の松」の化身であると告げて、住吉の地で待っていると再会を約束して、小船に乗って沖へと姿を消します。今回は櫛引東小学校児童(3年から6年)10名の皆さんが演じました。

狂言 瓜盗人

瓜泥棒を懲らしめる為に、案山子になって待ち伏せします。そうとは知らずに陽気に踊る泥棒。

水焔の能

水焔の能

杖で突いても気づかない…最後は懲らしめられて退散させました。詳しい知識がなくとも、話している内容がところどころわかって、会場全体に笑いがおきます。

能 石橋(しゃっきょう)

唐の清涼山に来た寂昭法師(大江定基)が石橋を渡ろうとすると、樵夫(しょうふ:きこりのこと)が制止してしばらくここで待つように教えます。

水焔の能

水焔の能

そこにに華やかな衣装をまとったふたりの獅子が現れて、舞台の上で回ったり飛び跳ねたりと息があった軽快な舞を繰り広げました。

鑑賞を終えて

春日神社の氏子のみなさんが、神事能として500年に渡って継承されてきた黒川能。 当初2時間半はなかなかの長丁場だなと思っていましたが、あっという間に時間が過ぎてゆきます。また各演目が始まる前にストーリーの説明あったので、難解な部分も乗り越えることができました。庄内へ移住する前から一度見てみたいと思っていた黒川能。黒川能の里 王祇会館で展示されている資料や映像を通して勉強してきたこともあり、色々な視点で黒川能を楽しむことができました。次回は2月に開催される「春日神社 王祇祭」も見てみたいと、今から楽しみにしています。

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