白金台駅前バス停で下車。都営地下鉄三田線に乗り換えようと駅入口を探している際に出会ったのが、「港区郷土歴史館」さんです。
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港区郷土歴史館の外観
保健衛生に関する調査研究及び公衆衛生の普及活動を目的に設立された「公衆衛生院」。ロックフェラー財団の支援・寄付を受けて、1938(昭和13)年に建設されました。
左右二つの螺旋階段部分や「くの字」の両サイド角、また建物を覆うスクラッチタイルの色合いから、私はスペインのバルセロナで建設されている「サグラダ・ファミリア」を思い出しました。この建物が現在、港区郷土歴史館として活用されています。
正面から建物を撮影した後、暑さから逃れるように館内へ。入ってすぐの場所にある総合案内・チケット売りで、常設展の観覧券を購入しました。なお館内は、有料エリアの常設展示室(3階・4階)・特別展示室(2階)の他、ガイダンスルームや図書室など無料エリアもあります。
常設展示室
貝塚や出土した土器、絵図や遺跡など展示物を通して、現在の街並みや人々の生活へつながる変遷を学ぶことができます。ここでは常設展示室三つテーマの内、「都市と文化の広がり」「ひとの移動とくらし」から私が特に興味を持った展示をピックアップしました。
江戸藩邸
現在の港区内に置かれた、大名の江戸藩邸。上中下三つの屋敷それぞれの役割、絵図を通して当時の街並みを窺い知ることができます。これらの屋敷やその広大な敷地が、明治時代以降大学や工場など姿を変えて、現在の港区の発展を支えることになりました。
増上寺
徳川家の菩提寺に選ばれ隆盛を極めた「増上寺」。明治以降昭和にかけて、廃仏毀釈や度重なる大火や空襲による被害を受けて苦難の時代が続きました。明治34(1901)年に作成された増上寺の烏噉図「大日本東京芝三縁山増上寺境内全図」を見ながら、現在の増上寺とその周辺の街並みの違いを探してみました。
俯瞰図をよく見ると、遠くに煙突が並ぶ工場群が描かれています。方角が恵比寿付近でしょうか。恵比寿と言えば、明治22(1889)年に完成した「日本麦酒醸造会社」のヱビスビール醸造所があり、描かれた年には、ビール専用の貨物駅・恵比寿停車場が開設されています。立ち上がる煙の中には、蒸気機関車から出たものもあるのかなと興味津々眺めていました。
また戦災によって焼失した、徳川二代将軍秀忠の御霊屋(おたまや)として造営された「台徳院殿霊廟」。写真パネルを通して当時の姿を知ることができました。なお増上寺の宝物展示室には、壮大なスケールで再現された「台徳院殿霊廟」の模型が展示されています。是非足を伸ばしてみてください。
陸上交通や海上交通の要
先ほど発見された「高輪築堤跡」に関する展示。三代目歌川広重が描いた錦絵「東京品川海辺蒸気車鉄道之真景」にも描かれた築堤が建設された経緯など知ることができました。また港湾施設の整備、東海道新幹線やリニア新幹線の建設と品川駅周辺の開発に関する展示内容も目を惹きました。最盛期だった頃の都電路線網を見ていると、現在に残していたらどんな都市ができていただろうかと想像します。
寺子屋から大学へ
武士の藩校、庶民の寺子屋や私塾など江戸時代に発展した教育施設は、明治時代になって制定された学制によって新たな展開をみせました。慶應義塾大学をはじめ多くの有名な大学や高校、小中学校が集まる港区の歩みを通して知ることができます。
建物見学
常設展示室を出た後は、係りの方のすすめに従って館内を見学してゆきました。
中央ホール
旧講堂
港区郷土歴史館の基本情報
住所:東京都港区白金台4丁目6−2 ゆかしの杜内
https://www.minato-rekishi.com/