今回は茨城県日立市にある「日鉱記念館」を訪ねました。日鉱記念館は、JX金属グループの歴史資料を展示する産業資料館。創業80周年を記念して1985年に建設、翌1986年に開館しました。
敷地内には、日鉱記念館本館の他に鉱山資料室や旧久原本部、塵外堂、第一竪坑、第十一竪坑等があります。
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日鉱記念館のアクセス
JR常磐線日立駅前ロータリーを発着する、茨城交通の「60番東河内行き」路線バスに利用します。約25分で「日鉱記念館」バス停に到着します。
日鉱記念館の入館方法
日鉱記念館は、原則Webサイトで事前予約が必要。こちらのページ( https://www.nmm.jx-group.co.jp/museum/ )から手続きできます。また予約せずに入館することも可能ですが、待ち時間が発生する場合があり。
到着したら、まず日鉱記念館本館にある受付へ向かいます。ここで事前にホームページから予約済であることを伝えると、予約内容のチェックを受けて展示エリアに入りました。
日鉱記念館の館内
日鉱記念館の館内では、1905年にJX金属グループの創始者・久原房之介が赤沢銅山を買収、日立鉱山として開業してから現在に至る歴史が、パネルや展示物、映像などを通して学ぶことができます。
JX金属グループ創業から日本鉱業株式会社設立まで
1905年 久原房之介が赤沢銅山を買収。日立鉱山として開業。
1912年 久原鉱業所を改め久原鉱業株式会社を設立。
1914年-1918年 台湾で50件等、海外で調査探鉱を実施。
1928年 久原鉱業を「日本産業株式会社」と改称。日本初の公開持株会社の誕生。
1929年 日本産業の鉱業部門を分離独立させて「日本鉱業株式会社」を設立。
日本産業の傘下企業一覧を説明するパネルをじっくり確認すると、「台湾」を冠した企業を幾つか見つけました。日本鉱業傘下の台湾鉱業、日本化学工業傘下の台湾化学工業と台湾肥料です。この内、台湾鉱業について展示内容と後日文献などの記述を元にまとめます。
金瓜石鉱山と台湾鉱業株式会社設立まで
1894年に金鉱脈が発見された「金瓜石鉱山」1896年に釜石製鉄所を成功に導いた田中組が、金瓜石鉱山の採掘権を取得しました。そして、田中長兵衛が「金瓜石鉱山田中事務所」を設置、1897年には金瓜石神社(黄金神社・山神社)を建立。1898年から 採掘がはじまります。
1933年に日本鉱業が金瓜石鉱山を買収、採掘権を獲得しました。そして新たに「台湾鉱業株式会社」を設立、三毛菊次郎が金瓜石鉱山事務所の所長になりました。また、金瓜石神社を現在の場所へ移設します。
台湾鉱業は、更に新竹州竹東郡(竹東油田)で天然ガスと石油の採掘・精製を1933年にスタートさせました。※参考:片倉佳史著「古写真が語る台湾 日本統治時代の50年 1895‐1945」
金瓜石鉱山の歴史に触れる新北市・黄金博物園区
現在、金瓜石鉱山は「黄金博物園区」として保存・整備。園内にある「新北市立黄金博物館」は、台湾鉱業の事務所だった建物を改築して利用されています。
また、2011年には、JX金属グループと台湾・金瓜石と繋がりが縁で交流イベント「日鉱記念館特別展示会(百年回顧 -金瓜石鉱山と日本鑛業)」が開催されました。
その他、三毛菊次郎邸宅や台湾鉱業の職員宿舎(四連棟)、金瓜石神社、太子賓館などがあり、見学することができます。