【酒田市】本間美術館 企画展「茶の湯のうつわ -茶碗と茶入を中心に-」実用と芸術を想像する鑑賞レポ
今回は本間美術館 美術展覧会場で開催されている企画展「茶の湯のうつわ -茶碗と茶入を中心に-」を見学しました。
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鑑賞までのプロローグ
訪れたのは平日の午後。梅雨らしい曇り空で、湿気ジワジワと蒸し暑さのピークタイムがやって来ました。受付で友の会(普通会員証)を見せて中へ。
この日のお客様は高齢の旅行者が多いのかな。冷房が効いた館内、美術展覧会場2階のソファー席で寛いでおられる方々の声が耳に入ってきました。じっくり見学したい私としては、もう少しトーンを落として欲しいな~と心の声でつぶやく。せめて頭の中に内容が入ってこないくらい。でも気持ちを切り替えて、目録と清遠閣の出品リストをいただき鑑賞スタートします。私は茶道のイベントをお手伝いすることがあり、道具類について基本的な知識は軽く持っていると自負。
茶入
解説によると、茶入は茶席において抹茶を入れる為の器であり、茶道具の中で最も格の高い道具であるとのこと。実用的な視点で見ていく中で、日和山公園の旧酒田灯台のような形の茶入を見つけました。実用性と芸術性を兼ね備えた品々があるよなぁ…と改めて感じます。
唐物大海茶入 銘 大内海
茶掛け
解説によると、茶掛けは茶室の床に掛ける道具で、禅僧の墨跡(ぼくせき)を中心に天皇や歌人、茶人らの書が掛けられました。
円頓止観語(えんどんしかんご)
京都府八幡市にある石清水八幡宮の社僧で瀧本坊の住持(住職)を務めた松花堂昭乗の筆。
解説によると、円頓止観(真実の相をすばやく観る法)の内容を書いて弟子たちに与えたものとのこと。
茶会で使用する煙草盆や絵の具箱といった四つ切りの箱を好んだ昭乗。これが松花堂弁当の基になっています。
茶碗
茶席において客が抹茶を飲むための器。「唐物(からもの)」「高麗物(こうらいもの)」「和物(わもの)」と産地によって大別されるとのこと。それぞれに抹茶が入った状態を思い浮かべながら見学しました。
高麗青磁象嵌平茶碗
茶道で平茶碗を使うイメージが私の中ではなくて、少し驚きながら鑑賞しました。
香炉
解説によると、香炉は香を焚くための道具。金属製と陶磁器製があります。
瀬戸香炉
コウモリがデザインされた香炉。洋風なイメージから明治維新後の作品かと思いきや江戸時代前期の作。解説によると、コウモリ(蝙蝠)は長寿を意味し、暗闇の魑魅魍魎にも打ち勝つ魔除けのシンボルとして使われているとのこと。逆に西洋では不幸の象徴として扱われているんですね。文化の違いを感じました。
釜
解説によると、釜は茶席で湯を沸かすための道具。
八景釜
解説によると、茶釜の最も基本的な形とされる「真形釜(しんなりがま)」に近い作風の八景釜。私は皮をむいた柿を想像しました。皆さまはいかがでしょうか?
水指
解説によると、茶席で釜に補給するための水や茶碗、茶筅を洗うための水を入れるための道具。
古染付雲鶴文水指
明時代末期の作品だとは思わせない、鮮やかな磁器の「白」と描かれる雲やツルの「青」のコントラストに魅せられました。
エピローグ
企画展を見学した後、美術展覧会場から庭園を経て清遠閣へ。
喫茶室で御抹茶をいただきました。鑑賞後にお庭を眺めながら是非寛いでください!
鑑賞メモ
企画展「茶の湯うつわ -茶碗と茶入を中心に-」
開催期間:2025年5月31日(土)から7月15日(火)まで
会場:本間美術館 美術展覧会場
https://www.homma-museum.or.jp/